こんにちは、ハリヨ歯科です。
皆さんは、歯医者で歯の神経をとったことがありますか?
歯の神経をとってしまうパターンは、大きく分けて2通り。
①ズキズキ痛みを伴って神経をとるパターン。
②知らないうちに虫歯が大きくなって、レントゲンを撮ったら神経の近くまで牛場が進行しているパターン。
以前なら、どちらのパターンでも神経を取ることが第一選択でした。
しかし、現在は②のパターンであれば高い確率で神経が残せるようになっていることを知っていますか?
神経が残せる残せないかを一番のポイントは、その歯に痛みなどの自覚症状があるかないかです。ズキズキした痛みがあると残念ながら神経をとらなければなりません。
冷たいものにしみる程度の痛みであれば、神経を残せる可能性があります。
では、その方法とは?といく前に、そもそもなぜ神経をとらない方が良いかについて説明します。
歯の神経を残すことのメリット:
- 自然な感覚の維持: 神経が残ることによって、歯の感覚や触感を維持することができます。食べ物の温度や歯にかかる圧力などの感覚を正常に感じることができます。
- 自然な栄養供給: 歯の神経は血管と密接に関連しており、歯に栄養を供給します。神経を残すことで、歯の健康と生存に必要な栄養供給が維持されます。
例えるならば、生きた花とドライフラワーで考えてみましょう。
道端に生えている生きた花を踏んだらどうなりますか。一定のダメージを受けはしますが、花自体が生きているため回復して、一定期間が経てば元の状態に戻ってきます。
では、ドライフラワーではどうでしょう。ドライフラワーを手で握るとバラバラと崩れてしまいますよね。
歯も同じで、神経がとられている歯は、血液が通わなくなるため、栄養が歯に行き渡らず、歯が脆くります。このため、クラック(ひび割れ)や破折のリスクが増加する場合があります。
また、神経の除去をした後は、神経と代わりとなる樹脂を詰める治療を行い、上から被せ物を被せて治療が完了します。
この、詰め替えた樹脂の中に細菌が残っていると、治療した後に、再度痛みが出てきたり、レントゲンで撮ると、歯の根っこの先に膿の袋を作ったりと、また再度治療が必要になることもあります。
ある報告【論文】によると、歯の治療は7回治療すると歯を抜歯(歯を失う)と言われています。
これらのことからも、安易に歯の神経をとらない方が良いということは容易に想像がつくと思います。
特に、若い方々は、人生100年時代に突入していく中で、いかに、今ある綺麗な歯を未治療のまま残していくかが、歯を残す上でも非常に大事になっていくと思います。しかしながら、むし歯になったとしても、可能な限り、神経をとらずに最小限の治療をすることが、生涯自分の歯で噛み続ける秘訣になります。
ここからが本題です。
もし、歯医者に行って、痛みもなく、自分では気付かない状態で大きなむし歯が見つかったとします。その時に、神経を取るのか、神経を保存するかで、その歯の寿命は大きな分かれ道になります。
できる限り神経を温存する道を選びましょう。
その神経を温存するために使用するのがMTAというセメントです。
歯科治療で歯の神経を保存するために使用される特殊なセメントです。MTAセメントは身体親和性があり(体に害がない)があり、歯髄保護や根管治療において優れた効果を発揮します。
本来、人工物を歯の神経と接触させると、その人工物の刺激により神経が傷んでしまい、歯が痛くなり、歯の神経が死んでしまいます。
しかし、このMTAセメントを使うことによって、虫歯を取り切ったところで直接神経が露出した場合に、歯の代わりになってくれることで神経をとらずに保存することができます。。MTAセメントの主な目的は、神経を保護し刺激を抑制することです。これにより、神経が再生する機会を与え、歯の感覚を維持することができます。
MTAセメントの利点は、耐久性と生物学的互換性にあります。長期間にわたって使用できるため、患者の歯の健康を長期間保持することができます。また、MTAセメントは周囲の組織との相互作用が良好であり、副作用のリスクを最小限に抑えることができます。
しかし、MTAセメントにもいくつかのデメリットがあります。例えば、MTAセメントは保険治療では行えないので自費治療になります。また、保険のルール上、中のセメントを自費にすると被せ物まで自費にしなければならないため高価な価格も考慮する必要があります。
しかし、それらのことを考慮しても総じて言えば、MTAセメントは歯の神経を保存するための有用な選択肢です。
興味のある方は、一度スタッフまでお声がけください。
また、当院は、治療前に、いろいろな選択肢の説明を事前にするように心がけていますので、患者さん一人一人が納得して治療が受けられるように心がけております。