歯周病が怖い理由(3)

2018.02.14
歯周病が怖い理由(3)

おはようございます。

大垣市、今宿のむし歯予防、歯周病予防に力を入れている歯医者さん、保育士常駐で託児も行える、子連れにやさしい歯医者さん、ハリヨ歯科の院長の長縄 陵亮です。

今回は、歯周病が怖い理由第三弾、骨粗しょう症についてお話ししていきたいと思います。

皆さんは日本人のどれくらいの方が、骨粗しょう症になっているか知っていますか?超高齢化が進んでいることもあり、現在隠れ骨粗しょう症(病院で骨粗しょう症と診断されていない方)も含めると、1300万人もいると言われています。それだけ身近な病気だということです。

その、骨粗しょう症が歯の病気と関係していることをご存知ですか?

そもそも、正常な骨はどうやって作られているかご存知ですか?骨は破骨細胞という骨を壊す細胞が古い骨を溶かすことから始まります。溶かされた骨の周囲に今度は骨芽細胞という骨を作る細胞が新しい骨を作ることによって常に新鮮な骨でいつづけられるのです。

骨粗しょう症は、この破骨細胞が働きが強くなりすぎてしまうことで、骨を作る作業が追いつかず、骨がスカスカな状態のことを言います。

話は戻りますが、骨粗しょう症と歯は何が関係しているかというと、骨粗しょう症に対して出されるお薬と関係があります。骨粗しょう症のお薬といってもいろいろあります。ビタミン剤、カルシウム製剤、女性ホルモン製剤、ビスフォスフォネート製剤などなど沢山の種類があります。その中で、歯という観点から見たときに内服することで副作用が出る可能性があるのはビスフォスフォネート製剤と言われる分類の薬です。

このビスフォスフォネート製剤というお薬は、骨粗しょう症の、破骨細胞の働きである過剰に骨を溶かしてしまうところに働きかけては破骨細胞の働きを抑えることにより骨が溶けるのを抑えることで骨を固くする効果があります。

しかし、この効果が顎の骨に対しては、時に副作用を生じてしまうことがあります。それは、骨が溶かされる働きが止められることで骨の細胞が死んでしまい、顎の骨に血が通わなくなってしまうんです。そのような状態で、歯周病が悪化したり、大きなむし歯があり、根っこの中が膿んでいたりした時に、細菌をやっつける免疫力が働かなくなり骨が腐ってしまうんです。

私は、卒後6年ほど総合病院の口腔外科で勤務していました。その為、骨粗しょう症の薬による副作用によって顎の骨が炎症を起こした方を何人もみてきました。人によっては、癌の痛みの時に使うような麻薬性の鎮痛剤を使用しないと痛みのコントロールができない方もいました。一度、ばい菌が付いてしまうと、なかなか治るのが難しい病気なので、そうならないために日頃から、お口の中のケアをする必要があります。そして、可能であれば、お薬を内服する前に一度歯科医院に受診し、お口の中の環境を改善したのちに飲み始めることをお勧めします。

このお薬の厄介なとこには、飲み始めた時は問題なくても、途中で歯が折れてしまったり、むし歯ができて歯を抜かなくてはならなかった時に、普通の健全者と同じように歯を抜くことができなくなります。

歯を抜くことによるリスクは、お薬が点滴なのか、飲み薬なのかによっても変わります。飲み始めてからの期間も歯を抜く時期を考慮する要因になります。

ただここで勘違いして欲しくないのは、骨粗しょう症のお薬が悪いというわけではありません。骨粗しょう症に対しては非常に有効なお薬だからです。重要なのは、どうやって、そのお薬と付き合っていくかなんです。骨粗しょう症のお薬を飲み始める前、もしくは飲み始めた後に、しっかりと歯医者に受診し、お口の中を健康に保つことが大事だと考えています。

分からないこと、不安なことなどありましたら、ハリヨ歯科にお越しください。