こんにちは、岐阜県大垣市で開業しているハリヨ歯科の院長の長縄です。
本日は骨粗鬆症とお口の関係についてお話します。
現在骨粗鬆症の患者数は1200万人程度と言われています。
10人に1人は骨粗鬆症と言えます。それくらい、多くの方が患っている病気になります。
そもそも、骨粗鬆症とは何なのかご存知ですか?
日本整形外科学会の説明では、かんたんに言うと
”骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気”と説明されています。
骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状はなく、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。
骨折が起こると、その部分が痛くなり動けなくなり、場合によりは寝たきりに。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。
現在の日本は超高齢化社会と言われていますので、これから、もっともっと骨粗鬆症の患者さんが増えてくることが予想されます。
その際に注意が必要になるのが、口の中の衛生状態なのです。
えっ!?
どういうこと、っと思いますよね。では、なぜ骨粗鬆症と歯医者が関係あるかを説明していきたいと思います。
骨粗鬆症自体にお口のかなと問題になることはありません。
問題が出てくるのは、骨粗鬆症のお薬を飲んでいる方です。
お薬と言ってもいろいろな種類のお薬がありますので、問題となるお薬と、問題ないお薬があります。
まず、問題ないお薬としてはカルシウム製剤、ビタミン製剤などです。
問題となるものは骨吸収抑制薬(ビスフォスフォネート剤、ランクル製剤)と言われているお薬です。
これらのお薬を長期的に内服もしくは点滴している方に注意が必要です。
簡単に説明すると、骨を強くする骨吸収抑制薬は、骨粗鬆症の治療に最も多く使われる薬です。しかし、重大な副作用なとして、顎の骨が腐ってしまうことがあります。
なぜ腐ってしまうのかというと、
本来骨は、破骨細胞と言われる細胞で、骨を壊します。続いて骨芽細胞が骨を作ることで常に新しく再生、代謝を行っています。
骨吸収抑制薬はこの破骨細胞を止めることで、新しく骨が作られなくなり、骨がカチカチになることで骨密度を上げていきます。
骨粗鬆症に対しては非常に良い薬です。しかし、その反面ある問題が出てきます。
この薬の85%は硬い骨(緻密骨)に集まると言われています。顎の骨の殆どはこの緻密骨でできているために、顎の骨に高濃度に骨吸収抑制薬が蓄積されます。
高密度になった、骨は新しい骨ができにくく、さらに新しい血管ができることも抑制、骨の血流が下がり、骨にできた傷も治りにくくなります。
ここの抜歯や歯周病が進行した歯が存在すると、そこから感染を起こします。しかし、新しく骨ができたりしにくいため、感染が治らず進行し、場合によっては顎の骨が腐って溶けてしまうのです。
すべての方がそのような経過をたどるわけではありませんが、一定数の割合で顎骨壊死が起こることがわかっています。
それらの薬を飲む際には先に、歯科医院でチェックしてもらうことが重要となります。また、歯周病が進行しないように、日頃から歯科医院に定期健診を続けていれば、そんなに問題になることもありません。
お薬を飲む際には是非、お声がけ下さい!